子どもが大きくなり、「そろそろ料理を運ぶお手伝いをしてもらおうかな?」と考えているみなさん。
せっかくお手伝いを頼むなら、ぜひこの機会に料理の並べ方も教えてみませんか。
今回は親子で学びたい和食の配膳マナーについてご紹介します。
理想的な和食は一汁三菜
和食の献立といえば、「一汁三菜」が基本です。
一汁三菜とはその名の通り、汁物と3つのおかずのことを言います。
主食となるご飯は、漬物や梅干しといったお新香(香の物)とセットで考えられます。
汁物はお吸い物やみそ汁、おかずはメイン料理となる主菜、栄養バランスを整える副菜・副々菜で構成されます。
とはいえ、共働きであったり、お子さまからまだ目が離せない時期だったりすると、毎日きちんと一汁三菜で食事を用意するのもなかなかハードルが高いものです。
そんな時は一汁一菜や一汁二菜でも全く問題ありません。食事は毎日のことですから、あまり深く考えすぎず、あくまでも理想的な献立として頭に入れておきましょう◎
和食の配膳を学ぼう
和食の並べ方にはルールがあります。まずは親子一緒に正しい和食の配膳を覚えましょう。
- 主食…手前の左側に並べる
- 汁物…手前の右側に並べる
- 主菜…汁物の奥に並べる
- 副菜・副々菜…主菜の左側に並べる
- お新香…主食と汁物の間に並べる
お箸は持ち手が右側にくるように置きます。箸置きがあればよりGOOD!
地域によっては和食の並べ方が異なる場合もあります。
代表的なのが関西地方の和食の配膳です(理由に関しては後述で紹介しています)
和食の配膳はどうやって決まったの?
和食の配膳が今の型になったのは、武士が活躍していた鎌倉・室町時代ごろからとされています。
なぜこのような並べ方になったのかについては諸説ありますが、一般的に言われているのは以下の2つの理由です。
日本の伝統的なしきたりから
日本には古くから「左上右下(さじょううげ)」という礼法があります。
これは、『位の高いものは左側に置き、位の低いものは右側に置く』というもの。
古来、お米というのは神様に捧げるものであったり、国に納める通貨代わりであったりと、価値の高いものとして扱われてきました。
そのためお米が最も位の高い食べ物とされ、左上位の考えにならって左側に並べられるようになったとされています。
武士の右利き文化から
もう1つの理由は、武家社会において左利きがご法度とされていたからです。
刀や弓などを使っていた武士の時代は、何事も右利き優先。ですから食事をする際も、当時は右手でお箸を持つのが当たり前でした。
そして反対の左手はお茶碗を持つお茶碗は頻繁に上げたり下げたりするため、自然と左側に置かれるようになった、というわけです。
関西地方はどうして和食の配膳が違うの?
関西地方の一部では、主食を左手前に、汁物をその奥に、おかずを右側に配膳する家庭もあります。
なぜこの配膳になったのか、その理由に関しても諸説ありますが、一説には関西が商人の町として栄えたことが影響しているのではないかと考えられています。
商人の多くは、無駄なことに時間を使いたくない合理主義タイプです。
そのため、汁物をこぼさないように注意しながらおかずをとる、汁物を飲むときに左手を大きく動かしてお椀を持ち上げるなど、そのちょっとした仕草に不便さや煩わしさを感じて配膳を変えたのではないかとされています。
また、食事のメインとなるおかずをより目立たせるために、汁物を奥に並べるようになった、ともされています。
これもまた商人ならではのアイデアですね。
なお、全国展開している定食屋さんは関西地方であっても基本的な配膳方法に従って和食を提供しているそうですよ。
子どもに和食の配膳を覚えさせるコツ
子どもに和食の正しい並べ方を教えるなら、口頭で伝えるだけでなく、視覚で覚えさせましょう。
おすすめは、和食の並べ方シートを作成することです。
作り方は簡単、チラシやカレンダーの裏にご飯やお味噌汁のイラストを描くだけ!文字が読めるなら「ごはん」「しるもの」など文字だけを記載してもOKです。
また縫いものが得意な方でしたら、並べ方シートを布で作ってみてもいいかもしれませんね◎
和食の配膳Q&A
基本的な和食の配膳についてはわかったけど…。
「じゃあ麺類の場合はどうするの?」「お茶菓子を出す場合はどう並べたらいいの?」
そんな疑問を抱えている方も多いことでしょう。
もしお子さまに同じことを聞かれたらサッと答えられるように、イレギュラーな場合の配膳についても覚えておきましょう♩
- おかずが3品以下の時はどう並べるの?
-
食事の献立が一汁一菜、あるいは一汁二菜の時も、配膳のベースは一汁三菜に合わせます。
おかずが1品の場合はご飯と汁物の奥に、2品ある場合は副菜をご飯の奥に、主菜を汁物の奥に並べましょう。
- 麺類の場合はどう配膳するのが正解?
-
ざるうどんやつけ麺のように、麺とつけ汁が別になる場合は、麺類(主食)を左に、つけ汁(汁物)を右に置きます。
また、別皿に天ぷらなどを盛り付けて出す場合は、汁物の奥にお皿を配膳するのが正解です。
- お茶菓子(デザート)も配膳マナーがある?
-
お茶菓子を出す際も、配膳は普段の食事と同じで汁物を右側に置きます。
食事の中で果物などちょっとしたデザートを出す場合は、一番右奥に並べられることが多いようです。
- 左利きの場合は配膳を逆にしてもOK?
-
現代の和食の配膳は武家時代の右利き文化による影響も大きいですが、だからとって左利きが配膳を逆にするのはNG。マナー違反となるので注意しましょう。ただし、箸の位置だけは変更しても構いません。
まとめ
最近は日々の食事内容をSNSに載せる方も多いですが、配膳マナーを理解していなかったせいで恥ずかしい思いをする方も少なくありません。
子どもたちが大きくなった時に恥ずかしい思いをしないためにも、今のうちから徐々に和食の配膳マナーを教えていきましょう。
もちろん、毎日一汁三菜で献立を用意したり、毎回小皿におかずを盛り付けたりする必要はありません。まずはご飯を左、汁物を右に置くなど、簡単にできることから始めてみてくださいね♩