「子どもがご飯をよく噛んで食べてくれない」
「丸飲みが多く食事のペースが速すぎる」
そんなお悩みを抱える親御さんは少なくありません。最近では乳幼児だけでなく、小学生や中学生の咀嚼回数の減少も問題視されています。
子どもの“噛む力”を育んでいくためにはどういった対策を行っていけばよいのでしょうか。本記事では子どもがご飯をよく噛まない原因と解決策をご紹介します。
子どもがご飯を噛まない原因
子どもがご飯を噛まない原因は1つではありません。歯の生え方や日々食卓に並べられるメニュー、食事環境など、子どもによって原因が異なります。
ここでは0~2歳の子ども、3歳以上の子どもがご飯を噛まない原因をそれぞれ解説します。
【0~2歳】食べ物の固さや大きさが成長に合っていない
0~2歳の子どもがご飯を噛まない原因は、噛む力に対して食べ物の固さが合っていないことが多いです。
個人差はありますが、一般的に2歳未満の子どもは奥歯の噛む面が小さく、噛む力が未熟です。そのため、弾力があるものや繊維のあるものが口の中にどんどん入ってくると、噛まずに飲み込む癖がついてしまいます。
また、与える食べ物の大きさが子どもの成長に合っていないことも、子どもがご飯を噛まなくなる要因の一つです。
例えば、離乳食完了期にみじん切りの食べ物ばかりを与えていると、子どもが噛まなくても食べられると判断し、ご飯を丸飲みする癖がつきやすいです。
【3歳以上】食事内容または食事中の環境に問題がある
3歳を過ぎる頃には乳歯が生え揃い、ほとんどの食べ物が食べられるようになります。ただし、奥歯ですり潰す力がつくまでは、与える食べ物の固さや大きさに気をつけることが必要です。
3歳以上の子どもがご飯を噛まない原因は「食事内容」または「食事中の環境」であることが多いです。
食事内容に原因があるケース
3歳以降もやわらかいものや小さくカットしたものばかりを食べさせていると、噛む習慣が薄れるため、咀嚼能力の低下に繋がりやすくなります。
また、食事と一緒に水やお茶などを与えると、食べ物を噛まずに水分で流し込む「流し食べ」の癖がつきやすいため、注意が必要です。
一方、噛む力を促そうと、かたい食材や噛みにくい食材ばかり食べさせるのも実はNG。噛むことがストレスになり、食事を途中でやめたり、丸飲みする頻度が余計に増えたりすることも。
食事中の環境に原因があるケース
食事に集中できない環境も、噛む習慣が薄れる原因の一つです。おもちゃが目の前にあったり、テレビがついていたりすると、どうしても食事以外のことに気がとられてしまい、咀嚼回数が減りがちに。
同じ理由から、子どもが食事をしているときにご飯の準備・後片付けをしたり、スマホを操作したりするのもNGです。
また、「早く食べなさい!」「こぼさないように気をつけて」という声掛けも噛む力を育てる妨げになります。
子どもがご飯を噛まない時の改善策
噛む必要のない料理を出し続けている限り、子どもの咀嚼能力は向上しません。
まずは子どもに普段どのようなものを食べさせているか振り返り、適した改善策を実践してみましょう。すぐには改善されませんが、毎日続けるうちに噛むことが習慣化されるはずです。
成長に合わせて噛みごたえのある食材を出す
やわらかいものや水分の多いものばかりを食べさせている方は、子どもの成長に合わせ、噛みごたえのある食材を少しずつ増やしてみてください。例えばおやつを与える場合は以下の食べ物がおすすめです。
- 1歳…野菜チップス、干し芋など
- 2~3歳…りんごや梨など食感のある果物(薄切り)など
- 4~5歳…するめ、ドライフルーツなど
- 6歳…ナッツ類、かためのグミなど
食材を大きめにカットする
唐揚げやハンバーグを一口サイズに切って出したり、カレーや炒め物に加える具材を細かく刻んだりしている方は、食材を大きめにカットしましょう。
「噛まなければ食べられない」と認識すると、子どもは自然を噛む行為を覚えていきます。
水やお茶は食事が終ってから出す
子どもが毎回食べ物を水やお茶で流し込んでいる場合は、食事が終ってから水やお茶を与えることを心掛けましょう。
子どもが喉の渇きを訴える場合は、食事前にコップ1杯分だけ水分を与えるのも一つの手です。味噌汁やスープなどの汁物も、水分より具材をメインで与えてみてください。
食事に集中できる環境をつくる
子どもが食事に集中できていない場合は、食事中の環境を見直しましょう。最も注意したいのは食事中の音です。
テレビやラジオがついている、音楽が流れている、家族が騒いでいる、「早く食べなさい」などの声掛けをするのはできるだけ控えてください。
また、食事と関係ないものが視界に入り込むのも避けたいところ。おもちゃが近くにあったり、家族が別の作業をしたりすることが多い場合は注意が必要です。
食事の前はおもちゃなどを片付け、なるべく家族全員で食事をするように心掛けましょう。
子どもの咀嚼回数を増やす遊びアイデア
子どもに噛む行為を意識づけたい方は、咀嚼能力を高める遊びを取り入れるのがおすすめ!ここでは子どもの咀嚼能力アップに効果が期待できる遊びのアイデアを紹介します。
噛むことをテーマにした絵本を読む
子どもに口酸っぱく「よく噛んで」と伝え続けるのはなかなか根気がいるもの。そこで活用したいのが、噛むことをテーマにした絵本です。
ここではおすすめの絵本を3冊紹介します。ぜひお子さまの年齢に適した絵本で、噛むことの大切さや楽しさを伝えてみてください。
Sassyのあかちゃんえほん もぐもぐ
ポップでかわいい身近な野菜や果物が登場する赤ちゃん絵本。「もぐもぐ」「しゃくしゃくしゃく」「ぷちぷち」など、楽しいオノマトペに触れながら、噛むことの面白さを伝えられる1冊です。
おなかのこびと
おなかの中に住んでいる君そっくりのこびと。君がよく噛んで食べないと、おなかの中はどうなっちゃうのかな?そんな疑問に楽しく応えてくれる1冊です。
よく噛まないだけでなく、食べすぎ・飲みすぎ・冷たいものばかり食べる…など、子どもの食べ方に悩みを抱える方にもおすすめです。
かむにんじゃ
噛むことの大切さについて、かむにんじゃが忍法を使いながら楽しくレクチャー。ながら食べが多い子どもにぴったりの絵本です。
巻末には、かむにんじゃのうた「かむかむメロディー」の楽譜が載っており、Youtubeで実際に視聴することも可能。親子で楽しく噛む習慣をつけましょう。
噛む力を促す遊びを取り入れる
舌や口周りを刺激する遊びは噛む力を促すだけでなく、はっきりと発音できるようになったり、表情が豊かになったりといいことづくし。噛む力を促す遊びは豊富にありますが、その中でも取り入れやすいのは以下の3つです。
- しゃぼん玉
- 顔じゃんけん
- 果物の種飛ばし
まとめ
ご飯をよく噛んで食べることは、胃腸への負担を減らすほか、顎を発達させたり、脳へ良い刺激を与えたりする効果が期待できます。
「子どもがご飯を嚙まずに食べてしまう」「丸飲みしたり水で流し込んだりすることが多い」という方は、一度食事内容や食事中の環境を見直してみるといいかもしれません。
絵本や遊びを取り入れながら、子どもの噛む力をしっかり育んでいきましょう。